2012年01月22日

勝呂×志摩

・2



昔から、兄であり姉であり家族やった。
厳しくても穏やかで怖いけど優しくて
年齢が近い二人と、年齢が離れた三人。
間に挟まれた金造はたまに兄になって、たまに弟になった。
都合ええんなぁ、と笑う蝮姉さんはそんな金造を思ってか
まるで俺らに接するように殊更、子供扱いしてた気がする。
それを嫌がるでもなく嬉しそうに素直に頭を撫でられながら
それでも兄を前に兄のように振る舞う金造がおもしろかった。

別嬪さんや、と隣で呟いた志摩に頷く。
身内だけの挨拶やと言うわりに豪華で
綺麗に着飾った蝮姉さんは別嬪やった。



大学は京都を考えとると言葉にせんでも志摩は付いてきた。
高校卒業時には祓魔師として認定され、称号も二つ取った。
後は京都に戻って、と考えてたとこに今まで黙ってた志摩が
春休みの間に家探しましょ、と京都までの切符を持ってきた。
本気を見るのは久しぶりやった。高校入試のとき以来やろか。
入試の時しか見せんのは勿体ないけど、それでも俺とまだ
一緒に居りたいんか、と思ってまうそれが何より嬉しかった。

おとんは笑って好きにせぇ、と頭をくしゃくしゃにして
おかんは、アンタは何言うても聞かへんねやろと笑った。
4年間だけ好きにさしてくれという言葉は寿命を持って
毎日削られていく命みたいに大事にした。大切に守った。
4年の猶予で何ができるかは分からんかったけど
互いにそこが最後やとでも思ってたんか、志摩も
その言葉に妙にすっきりした顔してそうですねと頷いて
駆け足で去ってった高校の3年間よりゆっくりと歩いた。

好きやなんやと言いながら愛してると言葉にしながら
俺も志摩もきっといつか、別々の道を歩くことになる。
正しいかどうかで言うたらそれはきっと正しいんやろう。
そうしたいかどうかで言うたら、少なくとも、俺は違う。
最後のラインが後半分で見えそうな時にそれが起こった。



上座に腰を掛けながら志摩に目線をやったら
ぴったり合った波長で絡んで、笑う志摩見て
すこしほっとする。結婚なんて言葉は繊細すぎて
俺以上にあいつが敏感に反応したんを肌で感じた。
複雑な顔しながら、それでも兄の結婚は嬉しいと。

結婚出来んでごめん、とは言えん。

でもなんでこんな事になったんやろうとも思わん。
ただ、苦しい思いをさせてると自覚してる分だけ
謝ることをさせへんあいつの為に時間を使いたい。

並んで座る夫婦は、一等輝いてる。


つづき
posted by 麦 at 01:27| AE